第2段『竹林』

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竹林

今日も大網街道は混んでいる。 いつものように百円のアイスコーヒーを買おうと手を伸ばしたが意志に背き手が止まる。
「この百円を誰かに使ってもらいたい。そっちの方が幸せだろう」 お金は引換券である。当然、物々交換のブツがなけば使い道が無くなるので、お金という存在は意味がない。 握った百円が行き場を失った恥ずかしさなのだろうか、熱くなっているのを感じた。 報国寺の竹林が素晴らしいと言うのなら、長柄町の竹林も是非見ていただきたい。 檻の中にいるライオンか。トラか。 爆発的な動きを見せるゴリラもそうか。 背筋の伸びた身体が僕の目の前に立ちはだかる。 ふと、仔犬の気持ちがわかった。 自分の身体の何倍もある大勢の人間に遊ばれているのだ。怖くないわけがない。 僕は、今、竹に遊ばれている。 何倍も大きい猛獣たちに。 下からも上からも竹は伸び、ガードレールは簡単に越されてしまう。太く伸びきった枝は自分の意志を曲げずに成長していく。 男から見ても惚れ惚れとする育ち方だ。 女性は男らしさを感じる男性を好きになるという本を読んだことがある。 報国寺の竹林にも負けないくらい、この男らしさにうっとりするだろう。  スナ